社会・時事

終身雇用の限界

「終身雇用が崩れ去っている時代に、
転職すら出来ない人材でいる事がリスク」

という趣旨の記事を先日書きました。

上記のように言っているのは、
経済自体がその流れになっている事が背景にございます。

経団連会長も

「正直言って、経済界は終身雇用なんてもう守れないと思っているんです。
どうやってそういう社会のシステムを作り変えていくか、
そういうことだというふうに(大学側と)お互いに理解が進んでいるので」

トヨタの豊田社長も

「なかなか終身雇用を守っていくというのは難しい局面に入ってきたのではないかと
雇用を続けている企業にインセンティブがあまりない」

という日本の経済トップの
(自分勝手な)発言からも方向性が明確であります。

定年が60から65、70へと移行していくこの先の時代、
高齢者を雇って、新陳代謝が進まない組織は、経済の競争力を保てない。

加えて、福利厚生で支えられ、年功序列が当たり前のようにある
企業の体制を、変化が非連続的でいつどうなるか分からない世の中において、
コストを掛けて保つというのは、余程の財務基盤が無いと難しいことです。

非正規を大量に雇い、終身雇用の枠からはみ出る人間を大量発生させ、
結婚や家族をつくる事すら出来ない社会状態にした日本のトップが、
「終身雇用は守れません」、、、「え、遅ない??」って思ったりします。

終身雇用はよく、日本型雇用三種の神器の一つと呼ばれたりするのですが、
長期的な視野に立った日本独特の制度は、効果・価値を持っていると私は考えます。
いわゆる「安定」というものですね。

安定、それ自体は良いとは思うのですが、
簡単に言うと、生産性の高い若年世代の生み出した利益を
若年世代ではなく、中年以上のお金が掛かる世代に配分する
という若くて優秀であればある程、損をする制度設計にあります。

つまり、終身雇用をやめるというのであれば、
賃金の分配システムの抜本的改革が付き物となってきます。

そうなれば、皆横並びの日本的制度は崩れ去り、
利益率の高い企業が優秀な人材を取り囲む、賃金額ベースの社会構造が出来上がり、
グローバルベースでサービスを提供している企業との
勝負にき込まれる可能性が非常に高いと考えられます。

というより、もしかするとGAFAに引き抜かれる人材や、
新卒採用でメガベンチャーの青田買いにあるように、
既に上記のような社会基盤はどんどん構築されていっているのかもしれません。

更に、長期的な視野に立てないという事は、
長期的な人材の育成に投資が出来ないという事で、
増々、成長機会に恵まれない企業にいる価値は下がってくると言えます。

結果、流動性が高まり、短期間で成長できない人が社会に溢れ、
経済成長も鈍化、賃金も鈍化という最悪のシナリオが考えられるのかなと。

つまり、この先の世の中においては、
「短期間で自身の能力・価値を高め、さっさと高収入を得られる企業に転職する」
という、企業の忠誠心や理念とはかけ離れた、自分本意な社会になってくるのかなと。

そう考えると残念で仕方ないですが、頑張る人は報われる社会になると良いですね。

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